2019年本屋大賞受賞作「そして、バトンは渡された」の著者・瀬尾まいこさんの受賞後第一作目となる「傑作はまだ」という作品を読みました。
おおまかな内容はというと、子どもの時から本ばかり読んで大人になり、そのまま作家になった主人公のもとへ彼の若気の至り（？）でこの世に生を受けてしまった息子が会いにやってきて、おかしな同居生活が始まるというものです。
作家になってからは両親とも疎遠になり特に不便もないからと仕事関連の特定の人間としか会わずに自分の世界に閉じこもって生きてきました。
そんな彼の前に現われたのは養育費の受け取り代わりに送られてきた写真のままの息子です。
顔は知っているけれど、それ以外何も知らない・・・。
そして彼や彼を育てた母親のことをほおっておいただけでなく、何一つ知ろうとしなかった自分に初めて気づくのです。
読み始めは「なんだこのイタイ人は！」という感想でしたが、今まで避けてきた人との繋がりの温かさを息子を通して実感して彼自身が変わっていきます。
同居生活が終わると知って初めてできた大切な存在を失いたくないと思うのです。
この物語の設定は普通ではないかもしれませんが、主人公を取り巻く人々は彼が知らなかっただけで彼のことを大切に思っていました。
引きこもりがちな宮田ですが、人と繋がることも悪くないなと思わせてくれる1冊でした。
息子さんの名前が主人公の書いた本にちなんでいるなんて
とても素敵ですよね！
