本好きな人間は、登場人物を頭の中に思い描きながらたいてい読んでいるので、実際に映像化されたときに「イメージが違う!」と思わず叫ぶことが多々あります。
限られた時間に収めるためにストーリーが変わっていたり、物語の世界観が描ききれず内容がすかすかになってしまうこともあります。
だから好きな本はできれば実写化されて欲しくない・・・
そんな本のダントツ一番がこの「マカン・マラン」シリーズです。
本屋パトロールで単に美味しそうな本だと思って手に取ったのですが、実に深い・・・。
ご縁がある人しかたどり着けないという看板のないカフェ「マカン・マラン(夜食)」で、ドラァグクィーン(女装した男性)の主人シャールさんのもとに集う年齢も性別も様々な人たちのお話です。
自分の心を偽らないためにとそれまで手にしていたものを全て棄ててドラァグクィーンとして生きることを決めたシャールさんの作る料理は、食べる相手に健やかで幸せになってほしいという願いの込められたお夜食です。
きちんと理解されにくい生き方だけでなく大病を患っているシャールさんの口から語られる言葉は、弱った心を慰めてくれるだけでなく自分の弱い部分も否定せずに今を大切に過ごしたいという彼女自身の思いが伝わってきます。
出会ってすぐは驚きを隠せない人たちもカフェに通うごとにお互いを理解していきます。
本の中だけでなく現実世界でもこんな風に互いの心の垣根が低くなることを願わずにいられない宮田なのでした。
「シャールさんに会いたい!(できればお夜食も・・・)」