エレノア・オリファントは今日も元気です

20180423

いつもの本屋パトロールで見つけた本です。
表紙のブルーが綺麗だったのと可愛らしいイラストに魅かれたのですが、
帯書きを読んで「呼ばれたな」と思いました。

主人公は会社で経理の仕事をしているエレノア。
どこにでもいそうな女性ですが、歯に衣着せぬ物言いとでもいうか
その場の空気を読んで発言するということができません。
でもそれは全く悪気がなくてどちらかと言えば親切心からの発言だったりします。
読み始めてすぐはそれが少し気にかかるのですが
だんだん彼女のことがわかってくるとその理由が判明します。
幼い頃の体験が心と体に傷を残し、愛情を感じることができないまま大人になってしまったのです。
そんな彼女がふとしたきっかけで知り合った同僚や
道で倒れているところを助けた老人とその家族とふれあい
誰かを本当に思いやることや「思いやられること」の意味と大切さを初めて知ったのです。

彼女が再生する後半部分は
逃げていた自分の悲しみや苦しみと向き合う姿にこちらまで胸が痛みます。
絶対にそばにいて支えてくれる同僚や
彼女が何を言おうときちんと向き合ってくれるカウンセラーの先生、
彼女をきちんと評価して回復を待っていてくれる会社の社長さんなどのおかげで
彼女がだんだん変わっていきます。
職場での長期不在が彼女の重要性を感じさせたこともあって
険悪だった他の同僚たちとの関係性もどこにでもあるの温かいものに変わりました。
これからも乗り越えることはたくさんあるでしょうが
「エレノア・オリファントは今日も元気です」
というセリフで締めくくる彼女になんだか元気をもらった宮田なのでした。

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